なぜ、起業した当初は、希望する仕事がこないのか?

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こんなはずではなかった仕事も!

インターネットの世界は1990年代が黎明期で、飛躍的に発展を遂げるのは
2000年以降のことです。今、当たり前のように誰もが便利に使っている検索エンジンや、SNS、ネットショッピングなども、僕が起業した当初はまだ、「夜明け前」というにふさわしい時期でした。

だから、起業するに当たって、僕が事業計画に掲げたネット上での音楽配信にしても、タレントキャスティングにしても、一から仕組みを構築していくことを考えると、正直言って、全く雲をつかむような話でした。もう一つ事業計画に掲げた「WEBのエンタテインメント・マガジン」も、WEBマガジンを音楽や映像などに特化したもので、最も実現性の高いものでしたが、それにしても、実際に立ち上げて収益を上げるまでには、途方もない時間と費用がかかるのではないかと、思われた時代です。立ち上げたものの、どういう形で回収するかというと、広告収入しかないわけですが、果たして広告は集まるのか?

いやいや、そんな悠長なことを言ってられません。何かで確実にお金を稼ぎ出さなければなりません。そこで僕らが懸命にやったのが、ホームページ(HP)の制作です。会社を始めたばかりなので、「ただいま、キャンペーン中です。よそさまよりもお安く、より良い内容でやらせていただきます」と、まあ、片っ端から営業をかけて注文を取ってきました。知り合いの多い音楽業界はもとより、飲食店、企業、ジャンルにこだわらず……。どんな小さな仕事でも、断らずに引き受けました。

儲かるかどうかはさておき、仕事があることが大事で、頑張って営業したら、会社のスタッフだけでは手が回らなくなることもありました。そんなときは同業のITベンチャー仲間に回すと、とても感謝されました。

そんなことで、小さな仕事を積み上げていたら、某スポーツ新聞のWEBサイトを手伝ってくれないかとオファーがあったのです。「紙の新聞ではできない、新しいコンテンツはないか?」と。僕はこのオファーをチャンスだと思いました。やりたかったWEBエンタテイメントマガジンと、音楽配信の要素を何かしら取り入れたコンテンツはできないかと。

そこで考えたのが「音楽を切り口にしたライフスタイルの提案」です。「デートに行くときに助手席の彼女に聴かせるならこの音楽」「海を見に行くときに聴く音楽」などの音楽セレクト情報を発信する企画は、車のカーナビのメーカーとタイアップができたのです。この企画であれば、アーティストの新譜のプロモーションに結び付けることもでき、タワレコ時代から培ったネットワークに加えて、会社の役員であるX氏、Y氏の人脈も大いに役に立ちました。

誰でも知っているスポーツ紙のWEB版というメディアを持ったので、当初はなんでも受注型(請負)ばかりだった会社も、情報発信をする仕事に一歩近づくことができたのです。

なぜ、起業した当初は、希望する仕事がこないのか?
どうすれば、希望する仕事がくるのか?

詳しくは 『崖っぷち社長が教える! ピンチを乗り切る「なぜ?」「どうする?」の使い方』 の62/63ページをご覧ください。