なぜ、会社のお金を持ち逃げされたのか?

起業失敗談

こんにちは。「崖っぷち社長」こと殿木達郎です。
今日は経理業務を人に任せてしまったために大変なことになった話です。
僕は根っからのミュージシャンですからお金の計算は苦手で、できればやりたくない業務でした。そうやって逃げ腰になると必ずトラブルが発生して、その尻ぬぐいがもっと大変になります。
そんなエピソードを書籍から抜粋しました。

創業以来の相棒だった役員のA君が会社を去ってからは、新しく役員に迎えたBさんが僕の相棒になりました。Bさんを役員に迎えたきっかけは、経理担当者が辞めてしまい、困っていたことがそもそもの発端でした。

会社を始めて六年ほど経ったある日、経理担当者のDさんが、「社長、この先、入金の予定はどうなってますか?」と訊いてきました。仕事の納品時期が遅れていて、したがって入金はもっと先の見通しで、さらに、企画途中で仕事が頓挫することもあって、結構ヤバい状態になっていたのです。

Dさんは、「このままいくと、預金残高がどんどん減って、数ヵ月後には資金がすっからかんになります」と目を吊り上げて僕に訴えてきました。当時、一ヵ月の固定費が一千万円以上かかっていたので、早急に数千万円の資金繰りが必要になるわけです。ただ、こんなことは創業当時からよくあることで、僕自身は慌てたりはしませんでした。営業して新規の仕事を取ってきて、さらに銀行に融資の相談に行けばなんとかなる—くらいの気持ちでした(慣れって怖いです!)。

ところが、生真面目なDさんにとって、こういうヤバい状況は許しがたく、預金残高が日々、どんどん減っていくことに我慢ならず、資金が底をつくのが見えてきたカウントダウンの段階になって、「私、ここまでやったので、辞めさせていただきます」と辞表を置いて去っていったのです。

僕は仕事をきっちりやってくれるDさんを頼りにしていたし、ずっと会社にいてほしい人材だったので、まるで恋人に一方的に別れを宣告されたような、なんともいえない絶望感に見舞われました。僕は僕で、新しい仕事の契約を取り付けに東奔西走していた時期だったので、Dさんに辞められてしまった後は、夜中に会社で眠気と闘いながら、ひとりで帳簿と格闘するしかありませんでした。幸いなことに、ぎりぎりのところで、新規の契約がいくつか取れたので、綱渡り状態ながらも会社は存続することができたのですが、心身ともにボロボロで、精も根も尽き果ててしまいました。

そんなときに出会ったのが、前述のBさんだったのです。「殿木さん、資金繰り大変だよね。そんな地味な仕事は僕に任せて、社長は会社の看板になるような光の当たる場所で活躍した方がいい」と、頼もしいことを言ってくれました。そして、Bさんは経理面を見てくれたので、僕は重荷から解放され、ほっとしました。

しかも創業以来、僕の相棒だったA君が会社を去ったあとは、A君が担っていた現場責任者も兼務してくれて、実質会社のナンバー2となり、若い社員の新たな求心力にもなっていきました。

そんな頼もしいBさんを僕はすっかり信用していたのですが、ところが、なんと、会社の資金を持ち逃げされるという大変な事件に発展していったのです。

なぜ、会社のお金を持ち逃げされたのか?
どうすれば、健全な経理業務を遂行できるのか?

この続きは、  『崖っぷち社長が教える! ピンチを乗り切る「なぜ?」「どうする?」の使い方』 の144~150ページをご覧ください。

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